講演6 新型コロナ対策 NTT東日本-IPA「シン・テレワークシステム」おもしろ開発秘話:登大遊氏
「シン・テレワークシステム」は短期間で開発費はわずか65万で出来た。
日本企業のICT技術者が、どういうふうにすれば、こういうシロモノを作れるようになるかの話と、そのためには自由なおもしろ環境を用いてICT人材を育成することが重要という話でした。
シン・テレワークシステムやSoftEther VPN等は無償で提供するようにしているが、この理由として十分な専門能力や予算がなくても、サイバー空間を利用する個々のユーザが安心して暮らせる最低限の権利と保障を行うというものだ。
それから、無償で高機能なものを提供すると、民間企業は無償より良いものにしようとするので市場が活性化して、より良いものが出来てくるといった狙いもあるとのこと。
若手ICT人材が、自律的で自由に技術開発ができるようなれば、自然に人材が育ち技術が生まれる。
それを実現するために登さんが経験した以下の2つの話が今回のポイント。
その1.ICTプログラムの研究開発環境
国・大学による人材育成の支援を受けたり、けしからん他国の通信攻撃をやっつける事で潜在能力を強化した。
その2.ネットワークの研究開発環境
けしからんNTT東日本をやっつけるために、あの偉大な局舎、光ファイバ、NGN、通信設備をいじって自分の環境構築した。
国から予算をもらうときは、かならず説教が付いてきて色々いわれる。これに対応することがスキルを高めることに繋がったようだ。
2012年に某外国政府の検閲用ファイヤーウォール(Great Firewall)が筑波大のサイトを遮断した。
これを受けて、他の国がまねをしないように。VPNゲートを作った。
これにより、Great Firewallを麻痺させ、筑波大学からコントロールし、任意のIPアドレスを遮断することに成功。
この対応でスキルがさらに高まったとのこと。
シン・テレワークシステムは企業のF/Wの内側ですぐ使えるのは、この対応によるものとのこと。
よくよく考えると、外国の企業は自由に研究できる環境があって伸びている訳で、日本でも次世代のICT人材を育成するためには自律的にいじれる環境が必要である。
しかし日本のやりかたは間違ってなく、たぶん面白環境を作らせることが、これから20年後くらいには日本は昔の家電や半導体が世界1位になったようにICTの分野も1位になるのは間違いないと思う。
その後、大学地下のNW網の探検を切っ掛けに、NTT東日本の施設に自作のおもしろNW網を作った。
後のシン・テレワークシステムが2週間で構築できたのは、このNW網があったからだ。
NTT東日本は世界最大級のコンピュータネットワーク環境である。
これは、日本における高度なICT人材を育成し事業を発展するために大変価値が高いものである。
この世界最大級の環境を有効に用いれば、日本でも世界最大級のICT能力の成長と、ICT技術の創出、世界への普及が可能である。
最後に、ICT人材育成法スーパーまとめとして
1.ICT人材にはシステムの裏側を分析して知ろうとする欲求があり、これを満たすためには低いレイヤへのアクセスが必須。
2.直接触れて自律的に構築・改良できる試行錯誤の環境があることが重要
3.国、大学、NTT東日本等は豊富な面白環境を有しているので若手ICT人材に活用させることが重要
4.けしからんと思ったときは、放置してはならない。納得がいくまで追求し偶然思わね道が開ける。
それが、だいたい正しい方向である。
ICT人材が育って、20年後くらいすれば日本は何も怖いものはなくなる。
そのためにも、日本に昔あった、おもしろ実験環境を復活させようではないかというお話でした。